Column

英国で職業訓練制度の革新が始まっている

中学や高校生時代の社会科の授業で、中世ヨーロッパにおける徒弟修行について習った記憶があると思います。いま、英国でこの徒弟修行制度が若者の職業訓練の柱として見直され、「徒弟修行制度のルネサンス」として注目を集めています。「農業、園芸、畜産」「アート、メディア、出版」「ビジネス、アドミ、法律」「建築、計画、環境」「教育、トレーニング」「エンジニアリング、製造技術」「医療、公共サービス、介護」「情報および通信テクノロジー」「レジャー、旅行、観光」「小売業、商業」など多くの業界にまたがっています。現在、190職種を超える徒弟修行制度が用意されており、自分の興味、経験などで判断し選べる仕組みです。またアプレンティスシップ、アドバンスト・アプレンティスシップ、上級アプレンティスシップの3レベルで構成されています。 

今回、資料を読む中で、気づいたのは英国のスキル、人材育成戦略が10年以上にわたる長期計画として描かれていることです。また過去に紹介しました英国の次世代育成戦略の一環として進められています。わが国において、高校を卒業し社会に出る若者たちが安定した職業に就き、適切なる職業訓練を受けて、堅実なる職業人としての道を歩める、誇りを持って生きられる、そのような仕組みがどれほど準備されているのでしょうか。

産業革命後、それぞれの国が歩んできた道には歴史、環境の差が存在します。英国の手法を真似てすぐに実行できるわけではありません。しかしながら日本の将来を考えるとき、次世代育成、および時代の要請にあった職業訓練制度の構築は政府、企業、学校が一体となり取り組むべき長期的な課題であり、他国の施策をも大いに参考にすべきと思います。いま民主党は4年間で優先的に実施する施策をマニフェストに掲げ、実行に移そうとしています。残念ながら、英国政府が進めるような次世代育成のビジョン、戦略がまだ見えません。

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2009年11月

PMI 野尻賢司が主宰するパフォーマンス・マネジメント研究所Column>英国で職業訓練制度の革新が始まっている